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Pisnowar

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※交通事故に遭い、左足を骨折。
入院中の出来事を包み隠さず赤裸々に語るシリーズ。
ここ最近はショッキング要素がなくなってきたので、安心して読んでほしい。



8月18日 月曜日


6時過ぎ、看護師の声で目を覚ます。
病室にはベッドが4つ、
病人はぼくを含めて3人。





入口の方から順番にベッドを回り、
体調を聞いたり、
水やお茶を入れてくれたり、
あっつあつのタオルを渡している。





ぼくは窓際なので一番最後。
やっと開けた目とボサボサ頭で
挨拶をする。






カーテンを開けてもらい朝日を浴びる。
今日も気持ちの良い朝だ。






メールの返信やSNSをサラサラ〜っと見ながらゴロゴロする。





ハッと思い出し、ナウシカの続きを読む。



朝食
お粥、卵焼き、芋の照り煮、練り梅、牛乳




薬を飲んで歯を磨いて、ひと息ついたら、
足に付ける装具の型取りのため、
1階のギプス室に行きますよと、
看護師が迎えに来た。





なにやらよくわからないが、
わくわくする。





看護師に車椅子を押してもらいながらの楽チン移動。
初めて見る病院の1階にさらにわくわくする。





外来に来た人達や患者がわんさかいる。
賑やかな景色なのである。




ギプス室に着くと、
装具屋さんがにこやかに出迎えてくれた。





主治医の先生も奥から出てきて、
足の包帯を取る。
支えてもらわなくても、足を持ち上げられるようになってるぼくの姿を見て、
「お、さすが若いね」と一言。




ガーゼも外し、かるく消毒をしたら、透明のシールみたいのを傷口に貼る。





ちょうどガムテープより少し幅の広い、伸縮性のあるシールだ。
スネのカーブに合わせながら、
空気が入らないように慎重に貼っていく。




貼り終わりに差し掛かろうとしたところで、先生ポツリと、
「ぼくね、ケータイの画面に貼るシールみたいのも、貼るの下手くそなんですよ、へへへ」






ユーモアたっぷり、頭は博識、
手先は器用。
ドクターニーロ。





確かに最終的には、
空気の押し出しに失敗し、
帳尻を合わせるように摘まんでいた。





そして手術の時に貼っていた絆創膏?の跡の所が、水膨れみたくなって中に血が溜まっていたが、





先生は「あ〜これどうする?潰す?ほっといてもそのうち無くなるから大丈夫だよ?」と
返答不要、回答確定の質問を投げかけてくる。




アズユーライク Dr.ニーロ




シールを貼り終えたら、今度は装具屋さんの出番。





まずは長い靴下みたいのを履かされる。
足首が曲がらない、曲げると痛いためビクビクしながら、
足を差し出し、履かせてもらう。






緊張して少し震える足首、
これから起こる事への期待、
そして少しの不安。
そっと、あなたを信じてるわ、
と言わんばかりの面持ち。




ベッドに座ったぼくにひざまずくように装具屋さんは靴下を履かせてくれる。




これにはプロポーズされて指輪を受け取っているような気分になった。
(未経験)




指輪交換が終わると(交換はしてないし、靴下)
細いロープを一本、
スネの中心に合わせるように這わせていく。




気になる作業にぼくの目は釘付けだ。




次に湯を張ったバケツの中に包帯みたいなものを入れていく。




カラっカラっになったタオルをお湯に浸すとボワっと生き返ってくるヤツご存知だろうか?




あれみたいな感じで、
湯に浸した包帯は膨らんでくる。
バケツを見るとやや乳白色になっているので、
「それは何なんですか?」と聞くぼく。




装具屋さん「これは石膏のついた包帯なんですよ、
薄く石膏が塗ってあるような状態で、これで型取りをします。」




興味津々である。




優しく絞った包帯を足巻いていく。



膝の方から順番に、
丁寧に巻いていくのだが、
温かい物に包まれる感覚が、
久しぶり過ぎて、これがなんとも心地よい。




お風呂にそっと足を浸していくような感覚で、
思わず「あったくて気持ち良いです」と頬を赤らめてしまった。





膝から指先まで3本の包帯を使って丁寧に巻き終えると、
装具屋さんは手を洗い、流れる汗を拭き取っていた。




5分も経たないうちに、カッターを取り出す装具屋さん。





ただただ見守るしかないぼくは、
ゴクリと唾を飲む。




スネの中心に這わせていたロープの端を持ち、ロープを切らないように包帯を切っていく。
もちろん足も切らないように、
慎重に慎重に。




ロープを引っ張りながら包帯を切り進めるなか、ぼくはそっと包帯に触ってみる。



緊張しながら作業している装具屋さんがチラリとこちらを見て、
すぐ目線を手元に戻す。




「もう固まってるんですね!すごい!」
緊迫した空気をぶち壊す、
目の輝くぼく。





目線と神経は手元に集中させたまま、装具屋さんは言う。
「3、4分である程度固まるんですよ、これ以上置くとカチカチになって足から取らなくなっちゃうんですよね。」






「いやー、すごい、これはすごい良いですね!良い!」
と装具屋さんにはちんぷんかんぷんであろう返答をする、目の輝くぼく。





そして足先までの包帯を切り終える頃には装具屋さんは汗だくになっていた。




切れ目の入った包帯の型がぼくの足からカポッと取り外される。




これに石膏(だったかな)を流し込み、ぼくの足型のプラスチック製の装具を作るのだという。




すかさず、
「その、カチカチの包帯は使い終わったら捨てちゃうんですか?」
と聞く。



装「え?これで型を取るんですよ?」



ぼく「あ、型取ったあとです」




装「あ〜、型取ったらあまり綺麗に残らないんですよね、
欲しかったですか?」




ぼく「そうなんですね、欲しかったです・・・」





靴下を脱がされ、綺麗なタオルで足を拭いてもらったら、
今度は、出来上がる装具のプラスチックの色を選べるというではないか。




正直、それはどうでもいいわと思ったが、気分まで暗くなっては困るので、黒以外でと答えた。






装「けっこう色々ありますよ、
赤とか〜青もできますし!」
なんだか楽しそうな表情の装具屋さん。






ぼく「いや、白で!」





何故か少し残念そうにする装具屋さん。
ぼくは装具が不必要になった後の事も考え、白にした。




そして、包帯巻き巻き型取り法、
これは退院したら是非とも試したい。





一通りの作業が終わり、看護師を呼んでもらう。
また車椅子を押してもらい病室に戻るのであった。





病室に着くとすぐに他の看護師が来て、今日は10時20分からリハビリがあります、と告げてきた!





リハビリ!
待ちに待ったリハビリ!
何をするかわからないが、
楽しみ過ぎる!




ここからぼくのリハビーヒルズ白書は始まるのだ。




ウキウキしながらゴロゴロして待っていると、
看護師が迎えに来た。




車椅子に乗せられ、
4階のリハビリ室へ。
もちろん初の4階である。






今日はあっちこっち移動しているので、道順なんてちんぷんかんぷんだ。






エレベーターを降りて、左に曲がると正面に、「心のケアセンター」がある。





そして、真っ直ぐ、
何の迷いもなくそちらへ進んでいく。





薄暗い。




え?え?え?




心の?




ケアセンター?







いやいやいや、ぼくは大丈夫、
普通です、元気です、
あわわわわわわ!






自然と手すりを握る手に力が入る。





あのっ!
と車椅子を押す看護師に声をかけようとしたところで、






心のケアセンターをヒョイと左折して、
さらに奥のリハビリ室に行くのであった。




今までの入院生活を思い出す。
自覚していないだけで、
実は心が病んでると診断されていたのかと思い、心底びっくりした。





そんなはずはない。
ぼくは普通にコミュニケーションも取っていたし、
ご飯もちゃんと食べていた。
文句だって言ってない。




明るくニコニコではないが、
たまには笑顔で応対する時だってあった。




勘違いで心底安心した。






リハビーヒルズの門をくぐると、
マシンの少ないジムみたいな雰囲気の中、
じいさんばあさんが、歩いたり、
手の運動をしたりしていた。






担当の先生(30代女性)が近づいてきて、
挨拶を交わす。





大きなベッドの横まで車椅子で連れていかれ、
「ではここへ座って、横になって下さい」と優しく言われる。





ぼくはよいしょっと立ち上がり、
右足を軸にクルっと周り、座り込む。
そしてゴロンとする。





立ち上がるのは慣れてないが、
ゴロンは得意だ。
日々の成果が出ている。





でも意外と身軽な動きだったため、
先生も「さすが若いですね、」と言っていた。






うん、若いよ。





少し話をしてから、
仰向けに寝て、右足の膝を曲げるようにして立てる姿勢を取らされる。




「は〜い、では左足をあげま〜す、
いちっ、にっ、足はまっすぐ〜、
さんっ、しっ、ごっ、、」




重い!足が重い!キツイ!
先生にちょっと支えてもらってるが、キツイ!





「ろく、ななっ、はちっ、きゅっ、じゅっ、、、、、
は〜い、もうじゅかっ〜い、」






ははははは!
辛くて笑ってしまった!






「いちっ、にっ、さんっ、しっ、
ごっ、、」






プルプルしてます!
ビグビクしてます!





「辛いですか〜?」




「、、、ぁい。けっこう」




「ろくっ、」




続けるのかー!!!!!





「ななっ、はちっ、きゅっ、じゅっ、は〜い、休憩しましょ〜」





もう、上げるのも下げるのも辛い。
太ももがビクビク、
膝下はガクガク。




でもなんだか気持ちがいいぞ!
運動してる!って感じでアドレナリンを放出し始めた。





「では、もういちど〜、
ぅいちっ、、ぅにっ、、ぅさんっ、、」






先生っ!!もっと正確な一秒を刻んでくださーい!







カウントする前にさっきよりも溜めないでくださーい!





「ぅよんっ、、ぅごっ、、
ぅろくっ、、ぅななっ、、
ぅはちっ、、、ぅきゅう、、
ぅじゅう、、、、
は〜い、もうじゅっか〜い」





きたー!!!
やっぱりきたーー!!!!





「ぅいちっ、、ぅにっ、、ぅさん、、、
足まっすぐ〜!!」





膝「ガクガクブルブル」
ぼく「・・・・・」





「ぅよんっ、、、ぅごっ、、、
ぅろくっ、、、ぅななっ、、、、
ぅはちっ、、、ぅきゅう、、、、
ぅじゅうっ、
は〜い休みましょ〜う」





ぷはーー!






「キツイですか〜?」
先生はニコニコで聞いてくる。




「いや〜、けっこうキツイです。
びっくりしました(あなたに)」






「じゃあ次は、足を上げた状態で5秒止めましょ〜う」




「は〜い、いちっ、にっ、さんっ、よんっ、ごっ、
はいおろす〜」





「あげて〜、いちっ、にっ、さんっ、よんっ、ごっ、
おろす〜」





「あげて〜、ぅいちっ、ぅにっ、
ぅさんっ、ぅよんっ、ぅごっ、
さげて〜」







先生!!!



一秒を!!!




正確に!!!!





溜めてるせいで8秒くらいになってまーーーーーす!!!!





「あげて〜
ぅいちっ、ぅにっ、ぅさんっ、ぅよんっ、ぅごっ、
さげる〜」






あ〜キツい、これはキツい。
さっきよりも足はプルプルしてる。




そして、これも20回繰り返されるのであった。





若者の意地、
早く歩けるようになるぞ、と自分に言い聞かせる。
やっぱりいつでも自分との戦い。




「は〜い、じゃあ次は横になって〜、右膝少し曲げま〜す。
左足は真っ直ぐ、
はい、あげて〜、
まっすぐ〜、」




あ〜これよくエクササイズでやるようなやつ〜!
普通にやってもキツそうなのに、
左足に重り付いてるみたいなんですけどー!





「ぅいちっ!ぅにっ!ぅさんっ!ぅよんっ!ぅごっ!」






先生!!





先生は力まないで下さーい!!





あと、もうちょっと早くカウントしてくださーーーーい!!!!






「ぅろくっ!ぅななっ!ぅはちっ!っきゅう!っじゅう!」







ふふふふふふ!
辛くて笑ってしまう!






「は〜い、もうじゅっか〜い」






わかってましたーーーー!!!!







「ぅいちっ!ぅにっ!ぅさんっ!
ぅよんっ!ぅごっ!
かかとからまっすぐあげましょ〜」






膝「グラグラグラ」
ぼく「っ・・・っ、、、、」



「ぅぅろくっ!ぅぅななっ!
ぅぅうはちっ!ぅぅぅぅうきゅう!ぅぅじゅう!
は〜い、やすみましょ〜」






ぷはーーーー!!!!!




「キツイですか〜?」


「ぁい。キてます」






「ベッドの上にいるだけだと、どんどん筋力が落ちてってしまうんですね、
筋力が無いと立とうにも立てない、歩こうにも歩けなくなっちゃうので、こういうトレーニングが必要になるんですよ〜」





「なるほど〜、思った以上に筋力落ちてるのがわかりました」





「はい、じゃあ次はうつ伏せになってくださ〜い、
では右足から、モモから持ち上げるように〜、
いちっ、にっ、さんっ、よんっ、ごっ、ろくっ、ななっ、はちっ、きゅう、じゅう〜、」






あれー、右足も辛いぞー!






「は〜い、あとじゅっか〜い」





読めてましたー!!!!





「いちっ、にっ、さんっ、よんっ、ごっ、ろくっ、ななっ、はちっ、きゅう、じゅう〜、」






けっこうきっつーい!!!






「じゃあ今度は左足〜、
は〜い、ぅいちっ、ぅにっ、ぅさんっ、ぅよんっ、ぅごっ、」





先生!!!!




ぼくが代わりにカウントしたいでーーーーす!!!!





「ぅろくっ、ぅななっ、ぅはちっ、っきゅう、じゅう〜」






くるよー、くるよー!






「はいあとじゅっかい、」







ほらーーーーー!!!!






「ぅいちっ!ぅにっ!ぅさんっ!ぅよんっ!ぅごっ!ぅろくっ!ぅななっ!ぅはちっ!ぅきゅう!
ぅは〜いやすみましょ〜う」






ぐはーーーーーーーー!!!!






力むと顎が痛い!
色んな所がガクガクしてきたぞ!





「では次は、膝から下を曲げま〜す、」




これは正面からみたら、
可愛さと無邪気さと・・・心強さ・・・・
じゃないな、
少女が可愛く足をルンルンさせて、おねだりするようなポーズだ。





右足はスイスイ上がって、
何も辛くないのに対して、
左足はバランスの悪い重り付けてんの?ってくらいグッラグラ!





でもこれは自分の足じゃないような感覚が面白い。
グワんっ、グラグラ〜、グワんっ、グラグラ〜っと
なる感じが痛気持ちいい。





そして案の定、スパルタ先生は
一秒を最大限に溜めて。
そして、さらに十回 力を込めながらカウントしてくれるのであった。





最後に腹筋。
これにもお腹をピクピクさせながら、何とか乗り越えた。





「毎日足を動かしていないと、どんどん筋力が低下していってしまうので、
たまにベッドの上でもしてくださいね〜、
食後とかでもいいので〜」






吐くわっ!





こうして40分のリハビーヒルズ白書の第一章は終わった。






終ってみると、すごく清々しい!
迎えに来てくれた看護師にも、
キツかったけど楽しかった!と感想を言う。






そして病室に戻り、
ゴロ〜ン。





一回休憩。





ケータイをぽちぽちいじって、
一息ついたら、昼食

お粥、豆腐ハンバーグ、茄子の含め煮、彩りサラダ、果物缶




久しぶりの運動で、いつもよりもお腹が空いた。
これこそ納得のいくお腹の空き方だ。




ちょっと体を動かしたおかげで、
脳みそもバリバリしていた。
そうなれば、何か作りたい。




そうだ、事故Tを縫おう!
(事故Tについてはちょっと前の「事故T」ってタイトル記事を参照してほしい)





テンションは上がり、
アドレナリンもガンガン。
目も冴えて、
手は獲物を欲するようにムズムズムズムズ。






まずはカバンからTシャツを出す。
事故後初めて見る。






見事にぶった切られてる。
少し血痕もある。
汚れもある。






かわいそうに。





切り口を合わせながら、構想を練る。
数少ないマチ針で端を合わせる。






これをするために予め母に糸と針を持ってきてもらっていたのだ。





本返し縫いのような半返し縫いような縫い方でチクチク手縫いの始まりだ。






まずは短い切り口、中心から袖口に向かって縫い始める。
ガタガタの切り口を帳尻が合うように縫っていく。






久しぶりの手作業に超集中モード突入。
次は中心を縦に縫っていく。






プリントしたロゴは再現不可能だと判断し、
こちらも切り口を表側に出すように縫っていく。







そうした方が修復しました感が出て良いと思ったからだ。





こちらも帳尻が合うように、
本返し縫いのような半返し縫いのような縫い方で進めていった。






一枚終ったところで、どっと疲れた。
頭もボーっとする。





足元にぐしゃぐしゃに寄せてあった布団を足でたぐり寄せて、
しばし休息。





作業場 兼 ダイニング 兼 トイレ 兼 椅子 兼 寝室
ぼくの全ては今このベッドの上のみ。




だらしがないにも程がある。
でもしょうがない。
動けないのだから。




小一時間ぐーすかして、暑くて目が覚める。
そりゃそうだ、まだ季節は夏。
それなのにここの布団はふかふかの厚い掛け布団だ。




ボーっとする頭を起こすため、
昼間習ったリハビリの筋トレをしてみる。




心の中で、先生がカウントしてくれる。





「ぅいちっ、ぅにっ、ぅさんっ、、、」





途中から心の中の先生は消え、
自分のペースで、
正確な一秒を刻みながら足を上げ下げする。







ぷはーーーーーー!!!!







一息ついて、ぽちぽちケータイをいじっていたら、
もう夕食の時間だ。

お粥、魚の味噌漬け煮、大根の煮付け、煮浸し、味噌汁






歯磨き粉の代わりに薬をすり潰したもので歯茎を磨き(嘘)、
食後のまったりタイム。





まだ明るい外をぼんやりと眺め、
缶コーヒーを一本、
常温の冷蔵庫から取り出し、飲み始める。




だんだんと薄暗くなっていく空を眺めながら、なんだか充実したような一日を振り返る。





いつもならここで右手に煙草があるはずだが、
不思議と吸いたくならないものだ。




というより、吸えない。
1人じゃどこへも行けないのだから、しょうがない。




いざ、吸えない環境に置かれてみると、煙草なんて無くても大丈夫なもんだ。





ただ、1人で動けるようになったら外へ出てみたい。
そこで新鮮な空気を吸いながら、
大きな空を眺めながら、
一服したいものである。




吸いたくてどうしようもない訳でもないのに、
なんとなく、煙草を吸いたいのだ。



ぼくは煙草を吸う時間が好きだ。





以上、これが全くどうしようもないニコチン中毒者の思考だ。






手がウズついて、
もう一枚の事故Tを作りたいなと思ったが、
もったいないので、明日までお預けする事にした。






本を読んだり、ケータイをいじったり。





夜担当の看護師が回ってきて、
血圧や体温を計っていったり。
微熱は続く。





そんなこんなで今日も9時に消灯。
パラマウントベッドを倒して、布団をかぶるのであった。





が!



なーんか寝れない!
眠れない!




おしっこも近い。





頭の中には
「 食 後 の 缶 コ ー ヒ ー 」





ゴロゴロゴロゴロ、
寝付けない時間が続く。





入院する前は、寝る前のコーヒーが日課だったのに。
まだ体が本調子じゃないことを思い知るのであった。




真夜中にも何度か目を覚まし、
静まりかえる真っ暗な病室で、
チョボチョボと尿瓶の泉に聖水を注ぐのであった。

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※交通事故に遭い、左足を骨折。
入院中の出来事を包み隠さず赤裸々に語るが故、食前、食中、食後に見ると気分を害する恐れあり。
覚悟して読むべし。


って書いてるけど、そろそろショッキング要素なし!




8月17日 日曜日


カーテンの向こうが少し明るくなり始めた頃に目を覚ます。





頭も体も目も起ききってない中、
お水を持ってきてくれる看護師にぎりぎり挨拶をする。






声になっているのか際どい「おはようございます」は
おそらく「おはようございます」には聞こえてないんだろう。





お水やお茶などと一緒に、
朝一で温かいタオルも持ってきてる看護師もいる。





これがまた気持ち良い。
居酒屋さんのおしぼりも気持ちが良いが、
こちらはタオルだ。
でかいし、熱い。





お湯に浸かることも、浴びることも出来ないため、
このタオル浴が唯一の熱なのだ。





朝食
お粥、焼き鮭、煮浸し、たいみそ、牛乳






食後のデザートのお薬4錠をむさぼり、歯を磨く。





ひと息ついていたら、
掃除のおばちゃんが入ってくる。
当たり障りのない、一言二言の会話をする。





横になりながら、本を読む。
このぐうたらさが心地良くもなく、優雅でもない。




ほとんどベッドの上で過ごしているのに、腹だけは減る。





食事の時間は6時、12時、18時。
30分前あたりから、箸を近くに置いておき、
デーブルを広く空けておく。






食事の配膳が来たら、
豚の如くエサに食いつくのだ。
例えに出してしまった豚さんには悪いが、
自分が醜く感じる。





いつも以上に、体の細かな動きにエネルギーを使っているに違いない。
自分に言い聞かせて納得させる。






今日の昼間の担当はよくしゃべる若い看護師だ。
血圧と体温、足や他の傷の様子を見てる最中もよくしゃべる。





聞いて無いことまでよくしゃべるもんだから、少し疲れてしまった。






たぶんそれが顔に出てたのがバレたのか、
あっ・・・、と話を急停止して出ていった。





本の続きが頭に入ってこないほど、さっきの会話がフラッシュバックしてきて、
きっと普段からよく喋る人なんだろう、うんうん、と
そっと目を閉じる。






と、別の看護師が入ってきて、
今日はお部屋の移動がありますと告げてきた。






ついに個室から大部屋へ移動だ。





手術前後は個室。
空きがあればそのままでも大丈夫だが、
他に個室を必要としている患者が居れば、
移動しなければならないのだ。





こちらから希望して個室を選んだ場合(一日5000円)は保険の対象外。
病院側の指示で個室にいる分には保険の対象になるらしい。





そこまで贅沢をしたい訳ではなかったので、
指示に従い、大部屋へ移動する事にした。




午後には移動するという。
と言っても、やっぱりぼくは何もせずにベッドの船に乗ったまま、
舵を取る訳でもなく、
波に流されていくだけなのだ。





個室最後のお昼ご飯は

お粥、卵とじ、スープ煮、ハムサラダ、果物缶






景気付けに薬を飲んで、
歯を磨き、
ふた息ほどつくと、看護師が4名来た。





一気に荷物をまとめ、
そのほとんどをベッド号に乗せて、大航海の始まりだ!





と思いきや、
同じフロア内の、
ほんの少しズレた所だった。





4人部屋の住人に軽く挨拶をして、窓際に停泊。
外の景色は向かいの病棟と、
住宅地。





景色はいまいちだが、
窓際でほんとに良かった。
気持ちが良い。





気持ちが良くても、
外で遊べる訳ではないので、
ナウシカの漫画を読み始める。






数年前に見た映画を少し思い出しつつ、読み進める。
面白い。





姉がひょっこり現れた。
洗濯物の交換の儀式を交わし、
何てことある話や何てことない話をする。






途中でバイト先のスタッフの子が来てくれた。
一番気の合う仲だが、勤務歴はあっちが先輩。
ぼくが緩やかに何かを取り決めてやろうという時に、ピシャリと制してくれる、しっかり者の一面もある。(超 上から目線の紹介)





チーズケーキ、クッキー、リクエストしてたガム(ももクロのやつ)、イチゴジュースみたいのを持ってきてくれた。





食べながら、事故の事、今後の事、何て事ない話をする。






あ、違う、なんか違う。
一つ言っておかなればならない。
勘違いされては困る。






リクエストしたのはガムで、
ももクロのやつを指定した訳ではない。




ぼくは、ももクロのメンバーと街ですれ違っても、紫の人しかわからない。
ってくらい情報量だ。








姉は気を使って退席してくれていたが、バスの時間だからと帰って行った。
申し訳ない。






その後、バイト先のスタッフは窓際で気持ち良くなったのか、
ぼくが読み終わったナウシカを読み始める。






二人で無言でナウシカを読むこと、4、50分。
「そろそろバスの時間なんで帰ります」と、
サッパリとした別れの挨拶をして帰っていった。





夕食
お粥、鶏肉おろし煮、南瓜のチーズ巻、煮浸し、味噌汁








その子は、その後、その足で、
ぼくがアトリエショップとして一角を間借りしている、
キャバレロスタジオに行き、
洋服の試着大会。




次々に送られてくる試着画像を楽しみに待ち、
他人事なので、あーでもないこーでもない好き勝手言っておいた。





お気に入りを見つけられたようで、何より。
写真にチラリと写りこんだオーナーの姿にニヤリとして、
食後のひとときを満喫した。




大部屋になってから、
音に敏感になった。
自分が立てる音、
誰かが立てる音。




カザゴソガサゴソ。
ズリズリカタカタ。
ぺらっぺらっぺらっ。
ぽちぽちぽちぽちぽち。
グースカグースカ。




そんなに大きな動きはできないから、発生する音も小さいが、
シンと静まりかえる病室内では、
些細な音でも耳に入ってくる。





最近は昼間に寝ないように頑張っているので、
9時を過ぎて、部屋が暗くなると
ウトウトしてくる。





同じ部屋のおじさん達は昼間も寝てるのに、なぜ夜もグースカ眠れるのか。
羨ましいものである。






少し緊張しながらの大部屋一日目は無事幕を閉じた。




※交通事故に遭い、左足を骨折。
入院中の出来事を包み隠さず赤裸々に語るが故、食前、食中、食後に見ると気分を害する恐れあり。
覚悟して読むべし。


8月16日 土曜日


カーテンの向こう側がうっすらと明るくなってくる時間。
ボーっとした頭でも、まだ6時前だとわかるようになってきた。




痛みは、、、無くなるわけもなく、ただ少し落ち着いてきたように感じる。





無理矢理寝返りをうち、
足が少しでも楽になる態勢を探す。






足に悪そうだなとわかりつつ、
少しくらい動かした方がいいよね、などと素人の勝手な思い込みを利用しつつ、目を瞑る。






はたと目が覚めるとそろそろ朝食の時間。






今日の朝食は、
お粥、はんぺんの煮付、煮浸し、練り梅、みそ汁、牛乳。




体を起こした態勢はやはりまだ足に響き、
すがる思いで薬を飲み込み、歯を磨く。





足は痛むが、相変わらず食欲だけは衰えず、毎度の食事が楽しみでしょうがない。





午前中のうちに先生が部屋にやってきた。
「切ってみたら、けっこうくるぶしがぐちゃぐちゃだったから、
思ったよりも時間かかっちゃったんだよね〜」
と、いつものニコニコ笑顔で話していた。





そして包帯を外して、傷口のチェックと消毒。
首だけ起こして自分の足を覗き込む。




スネに長く伸びる傷跡、20cmくらいだろうか。
それとくるぶしから伸びる傷跡、10cmくらい。





パンパンに腫れ上がった足とも合いまって、グロテスクでございます。





自分の足じゃないような感覚に陥るくらいのものだ。
この手術跡はけっこうキレイになくなるらしい。






皮膚の表面を糸で縫うわけではなく、皮膚の内側の肉部分を縫う。
表面は切り傷のような状態になり、自然とくっついていくという。





そして、細く短いチューブ(およそ直径2mm × 長さ10mm)のようなものが5本ずつくらい傷口に刺さっている。





これで中に血が溜まらないようにするらしい。
それをひょいひょいっと抜いていったら、
血がたら〜ん。





おおおおお〜、
自分の足から醤油でも出てきたんじゃないかってびっくりする。
血はすぐに止まり、
たぶん、これが中に溜まってたやつだ。





説明は聞いているが、いまいち理解はできないのである。





消毒も終わり、ガーゼを貼り直し、包帯を巻き直す。
その時に今までぼくの足を固定してきたL字の板も外された。






その時は何も思わなかったが、
先生や看護師が帰ったあとに、
少し足の位置を変えようと動かしてみる。




L字の板がなくなった分、少し軽い感じはしたが、まだまだ重たい。
そしてふと、膝を曲げてみた。






あ、今まで全く曲げれなかった膝が曲がる・・・、
よしっと思い立ち、今度はグイっと曲げてみた。






あぁ〜、これはなんという!!!!






ひざの曲がる喜び、気持ちよさ。






感動した。




大事なのでもう一度言う、


膝の曲る喜び、気持ち良さ!







その後も重たい足をグイグイ曲げては、この喜びを味わった。
ただ、膝から下にはダメージが残る。
やり過ぎると後悔するハメになるのであった。





昼食
お粥、鶏肉コンソメ煮、かぶのくず煮、彩りサラダ、果物缶




入院生活一の楽しみが昼食時のデザートである。
毎日果物缶やフルーツなどが出てきて、ぼくをワクワクさせてくれる。





半月分の献立表が配られるが、
楽しみにしているので、見ない事にしている。





だが、よくよく見てみると、
デザートの詳細は書いてなく、
ただ「果物缶」「果物」などの表記であることがわかった。






献立を見ても見なくてもワクワクする事には変わりないというわけだ。






日に日に耐えられる痛みに変わってきている。
微動だにしなければ痛くない時もある。





姉が持ってきてくれた本を読む。






ただただ物語が頭の中を流れる時間を過ごす。
そしてたまに足を曲げてみる。






あぁ〜なんて気持ちが良いんだろう。
膝を丸めて寝られる幸せ。
寝返りだって・・・、
少し痛いけど、できる!






左足はびっくりするほど重い。
指も足首も動かない、
触られてる感覚も鈍いので、
自分の足じゃないような感覚に何度も陥る。






太ももの力で足を持ち上げる事はできるが、
スネやら足首が痛い。





生きてる右足を持ち上げるのは容易かと思いきや、
左足で踏ん張らなきゃいけないので、ぎこちない。






今までなんの不自由もなく体を動かしてきたが、一つ一つの動きでどこに力が加わるのか、
意識するようになる。





そして事あるごとに、歯は食いしばるんだなという事にも気がつく。






夕食
お粥、蒸し魚のあんかけ、さつまいもの煮付、ツナサラダ、味噌汁




一粒ずつしか飲めなかった錠剤が二粒ずつ飲めるようになった。




普段なら極力、極限まで薬なんてものは飲まないのだが、
今はおとなしく、言われるがまま飲む事にしている。





夜に襲ってくる痛み、
腫れて全く曲がらない足首、
腕や足の傷。
不安はいっぱいだが、
治す所もいっぱい。



どんなに寝れなくても眠剤だけは貰わないでおいた。




できることなら、
薬草とか使って、自然治癒力を最大限に活用して治したい気持ちだ。
髪も髭も伸ばしっ放し、より自然に生きたい。




だが、今回ばかしは心配も迷惑もかけている上に、歩けるようにならないと生活に支障が出る。
なによりも早く退院したい。





早く家に帰って何か作りたい。






ここには必要最低限の物しかない。
とてもシンプルだ。
何か作りたくても作れない。



脳みそが溶けてしまいそうだ。


※交通事故に遭い、左足を骨折。
入院中の出来事を包み隠さず赤裸々に語るが故、食前、食中、食後に見ると気分を害する恐れあり。
覚悟して読むべし。



8月15日 金曜日



痛い。
かなり痛い。
スネのあたりをずーーっと
グーーーーっと押され続けてるような痛み。





病院に運ばれてきた日の夜も痛くてどうしようもなかったが、
今夜の痛みもヒドい。





時たま足を勝手にゆっくりとねじられていくような感覚に陥る。





ゆっくり右回し、、、
ゆっくり左回し、、、





誰の仕業か知らないが、
これがやばい、痛いのだ。






もうそれ以上回したら悲鳴を上げてしまうという手前で、
何とか足に意識を集中させる。






どう考えても足は回っていない。
そしてまたグーーーっと押されるような痛み。





そんな中の朝食。
お粥、卵カニカマ 、芋と人参の煮付け、たいのり 、牛乳飲まず





早く回復しなければならない。
食欲だけは落としちゃいけない。
薬も歯磨きも素早く終わらせ、






早々に横になる。
食べてすぐ横になると牛になると言われてきたが、
安心してほしい、ならない事が証明された。






足の痛みによる覚醒と
痛みを耐える体の疲労とが
交互に押し寄せる。





たまに眠れる瞬間がある。






悪魔と添い寝してるともうお昼ご飯の時間。





お粥、豆腐 、さつまいも 、ホワイトあすぱらとベーコンの和え物 、バナナ






バナナ!
バナナはうまい。







体を起こすとさらに痛む足。
ささっと薬を飲み込み、
歯磨きをして、牛になる。






母と姉が来てくれた。
苦しむぼくの姿をみて心を痛めている。
だが今日ばかりは笑顔を見せる余裕は無い。






しばらくして、父の友、その娘がお見舞いに来てくれた。
娘とは同い年で何度か遊んだ事のある仲なのだ。






暇だろうからと、ナウシカのワイド版のマンガを持ってきてくれた。
これは読むのが楽しみである。






だが、今日ばかりは笑顔を見せれる余裕はない。
ゆっくりもせずに帰らせてしまって申し訳なく思う。






母と姉も外が暗くなる前に帰って行った。
少し心寂しかったが、押し寄せる痛みに慣れてきて眠れそうな気がした。






当然熟睡などとは程遠い、浅い浅い寝たんだか寝てないんだか、
全くすっきりしない睡眠を取る。






夕食
お粥、焼シャケとピーマン(謎の組み合わせ)、かぼちゃの煮付け生姜風味(初めての味)、小松菜のお浸し、味噌汁





今夜も薬を丸呑みし、ジャカジャカ歯を磨き、牛さん。






また長い夜の始まりだ。
本を読む事もケータイをいじる事もさせてくれない。
考え事すらできない。




長く苦しい一日だ。





頭に浮かぶのは車の下にいた時の情景だけ。
はっきりと、皮肉なほど鮮明に蘇る記憶。






姉が帰る前に残していってくれた、「あとは良くなる一方」だよという言葉が虚しくも優しく耳をかすめるのであった。






9時の消灯前に消灯し、長い夜に戦いを挑む。
が、0時前にあっさり負けて、
ナースコール。






ひよこシールの看護師にケツを向けて、不慣れな技で座薬を打ち込んでもらうのであった。






これがベテランとひよこシールの技量の差か・・・、などと哀れな自分の姿は脇に置いて、
薬が効き始めるのを必死に待つ。






座薬の効果は30分ほどで効いてくるらしい。
それを待たずに眠れたのであった。


※交通事故に遭い、左足を骨折。
入院中の出来事を包み隠さず赤裸々に語るが故、食前、食中、食後に見ると気分を害する恐れあり。
覚悟して読むべし。




8月14日木曜日

今日は手術。
昨夜からの絶食も意外と平気なもんだ。




午前中のうちに看護師が来て、手術の時間が早まったので今から絶飲して下さいと告げられた。





突然の事に少し慌て、
ぼく「え?もう?今っ!からひとくちもダメ?」
ナース「今ひとくち!だけなら良いですよ」




そのお言葉に感謝し、この世で最後の水を飲むように喉に染み込ませた。





伸ばしっ放しだったヒゲも剃らなきゃいけないらしい。
ホテルでもらえるT字のカミソリで少しずつ剃った。





痛い。
ホットタオルは一瞬で常温になり、髭が柔らかくならなかった。





そうこうしていると、
麻酔科医が病室にやってきて今日の手術時に使う麻酔の事などを丁寧に説明をしてくれた。





その間にも常温タオルはどんどん熱を下げていっている。
剃りかけのヒゲは麻酔科医にどのように写っただろう。






結局、乳液をつけて剃るという方法を思いつき、難を逃れた。






お昼前に母と姉が来てくれた。






12時半、点滴をしている腕に加え、
酸素マスクまで付けられた。
すごく重傷そうに見える。






ベッドのまま運ばれていく。
天井が流れていく景色は
やっぱりドラマとか映画の世界のようで、変な感じがする。





手術室の手前で、母と姉と別れる。二人とも心配そうな顔だ。
ぼくは親指を立てる。





手術室の景色はまるで別世界だった。
いままでは看護師が白いナース服を着ている姿が多く目に入っていたが、




ここでは濃紺や薄いカーキ色を着ている人が多い。
この人達はみんな医者なのか。
みんなシャワーキャップをつけている。






ぼくはと言えば、
頭上に大きく作ったお団子ヘアがシャワーキャップの邪魔してしまったようでふわふわ浮いてるような感じがした。






さらに奥へ進むと、
天井から、6つの目を持つ、2機のアーム付きの照明、
各種計器がズラリとならぶ
手術室だ。





空気が変わった。
壁はミントグリーンに塗られ、
神聖ささえ感じた。





ぼくは照明の真下、定位置にセットされ、専用のベッドに移動した。






寝返りすると落っこちてしまいそうな位狭いベッドだ。





常に5人くらいはベッドを囲み、
ぼくに対してそれぞれの作業をしている。





この神聖な場所の酸素マスクからは少し甘い酸素が出てくる。
柔らかく爽やかな甘さのある酸素だ。






酸素と一緒に「ボーっとする薬」も注入された。
点滴からだったかな?






浴衣を脱がされ、パンツ一丁になる。
ぼくは横向きになり、折れてない方の足を抱え込むような姿勢をとる。






こうして背骨の脊椎に麻酔薬を打ち込むのだ。





少し冷たいですよ、の掛け声とともに背中に何か塗られた。
冷たいどころか暖かく感じる。





少し緊張し始めたが、
ここまで来たらもうなされるがまま。全てを任せた。






少しチクっとしますよ、の掛け声とともに麻酔薬注入でございます。





さらに「ボーっとする薬」とやらも盛られて、
案の定ボーっとしてきた。





何か話しかけられるが、ボーとしてて、自分の声がちゃんと出てるのかもよくわからない。





これわかりますか?
と麻酔医に聞かれる。
見ると何かを下半身に当てている。




ほとんど感覚がなく、わからないと答える。





だんだん上の方に当てられていって、胸に下にピトッとくっついた時に、初めてそれが冷たいものだとわかった。





自分の体なのに感覚がわからない。不思議だ。






具合悪くないですかー?と聞かれ、朦朧としながら声を振り絞り、
「ボーっとしています」と答えたのを最後にその後の記憶はない。






ボーっとする薬にまんまとやられてしまった。






約2時間の手術、






名前を呼ばれて目を覚ました。
そこはまだ手術室。





どういう風に目を覚ますのだろう、
何度も何度も体を揺すられ、名前を呼ばれて目を覚ますのか?






催眠術のように顔の前で指パッチンされて目覚めるのか。






起きる薬でもあるのか。






頭も体もぼんやりしながら病室に戻った。
足が締め付けられるような感覚と痺れがあるが、
まだ麻酔が効いてるようで、
痛みはない。





心電図、血液内の酸素濃度を測る機械もセットされ、
体中から線が伸びていた。






何時間かしたら食事をしても良いと言われていたので、
母と姉においなりさんが食べたいと伝えた。





なぜ、お稲荷さんだったかはわからない。





母と姉はお稲荷さんや海苔巻き、おはぎ、カットフルーツまで買ってきてくれた。




絶食の後だからか、手術の後だからか、久しぶりに普通の味付けの物を食べたからか、
とにかくうますぎた。





なんどもうめーって言いながら、ゆっくり食べた。






顎が本調子じゃないことと、
座った姿勢が足に響くこともあり、腹6分目でやめておいた。





それからは、少し横になったが、
段々と麻酔もきれてきて、やり場の無い痛みがじわじわと襲ってきた。





ちょうど母と姉が帰る頃、
もうすっかり痛くてたまらない足
。本当なら顔をぐしゃぐしゃにしてもがきたい所を、
必死に堪えて、二人を見送った。






痛み、もがき苦しむ姿を見せたくないし、見られたくないからだ。





この日の夜は長かった。
どんな態勢をしても、何をしても痛い。
食いしばる奥歯も痛い。




これは事故直後のような痛さだ。
たまらん。
事故の映像も何度も何度も何度も何度もはっきりと頭に出てくる。






同じフロアに発狂してるおばちゃんがいた。
最初は気が狂ってるのか思っていたが、
不幸な事故にあったのか、
「おとーさん」と何度も何度も叫んでいた。
正気じゃない事は確かだ。






何があったのかはわからない、
ただ申し訳ないけれど、
今夜だけはやめてくれと思ってしまった。
早く眠ってしまいたい。






痛みの波があるのか、感覚がおかしくなっているのか、
10分くらい放心状態になれる時がある。





その時に眠っているのか、
ただ一点を見つめたままなのかはわからないが、
一瞬楽になれるのである。






締め付けられたり、押されたり、
しびれと痛みが左足を掴んで離さない。




もう頭がおかしくなりそうだった。
一瞬くる放心状態を待ちわびる。



そんな事を繰り返して朝を迎えた。最悪な朝だ。






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